相続における預貯金の名義変更・解約手続

相続

はじめに

相続の大きな手続は不動産の名義変更と預貯金の名義変更又は解約と言えます。

今回は後者の預貯金の名義変更等について見ていくことにより、超高齢化社会の到来に伴う2025年問題

(団塊の世代が後期高齢者となりその子世代が50歳代となり老後を切実に考える)に対しての準備の第

一歩にしていただきたく書いていきます。

一、金融機関の預貯金の承継のパターンについて

 上記 はじめに の中「預貯金の名義変更又は解約」につきまして説明して前に進める必要がありま

 す。

 ➀名義の変更:亡くなった人の使っていた口座の名義を相続人へ変更して承継する方法

 ➁口座の解約:口座を解約して預貯金の払出を受ける方法

 この➀➁の承継パターンを分けるのは手続の違いはもちろんですが、効果面における口座の従来金利

 の継続有無といえます(現在の超低金利の時代では分別の効果についての説得力は弱いと言えます)

二、口座名義人が亡くなったことを知った金融機関が採る措置

 名義人口座が凍結され、その効果として、払い戻しはもちろん家賃の振込・公共料金等の引落もでき

 なくなります。ます。

 ただ、金融機関が口座名義人の亡くなったこと知らないうちはキャツシュカードを持ち暗唱番号を知

 っていれば払戻しが事実上出来てしまいます、その場合相続放棄が出来なくなる可能性があるとか、

 相続人間でのトラブルとなる可能性がありますので止めておくべきです。

 例外的に葬儀費用の支出・当面の生活費・各種の支払いのためお金が必要になった場合、2019年

 7月の民法改正により、遺産分割前に預貯金を金額的制約の中であるものの払い戻しができることにな

 りなりました。

 【払い戻し上限額算出計算式】

   払い戻し上限額=(相続時の口座残高) × 1 /3 × 払い戻しを求める相続人の法定相続分

  ※ただし、法務省令により一つの金融機関当たり150万円が上限とされています。

 上記例外的な場合もありますが、一般的な名義変更又は解約について以下のべていきます。

三、名義変更又は解約の事前準備

 1.口座の調査(亡くなった人が利用していた金融機関名の調査)

   この調査は自宅などを探索して通帳・キャシュカードなどの口座に直結するもの、さらに

   可能性を郵便物・エンディングノート・同居者からの聴き取り等で確認していきます。

   ※可能性のある場合は金融機関へ戸籍謄本等の証明書を提出して、亡くなった人の口座を調べて

    もらうこともできます。

 2.法定相続人が誰なのかは、具体的には亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍・改製

   謄本含む)と相続人の戸籍謄本(抄本可)によります。

   ※2017年5月から適用が開始された「法定相続情報一覧図の写し」で上記戸籍類の代用がで

    きることになりました。

   <詳しくは当HPコラムの「法定相続情報証明制度のメリット」を参照願います>

 3.遺言書の探索

   遺言書がある場合は遺言書の内容に従って名義変更又は解約が行われることになります。

   ※遺言書の種類・その特徴についてはここでは割愛させていただきます。

   <詳しくは当HPコラムの「遺言書の種類はいずれを選ぶべきか?」を参照願います>

 4.誰がどの口座を承継し、また解約し払い戻してそれをどの割合で分けるのか相続人全員で話合い

   遺産分割協議書にまとめ上げていくことが必要であります。

   上記協議書は全員の協議・全員の署名・実印の捺印がなされ印鑑登録証明書の添付を要します。

四、金融機関への名義変更又は解約の連絡

  上記三、にある遺産分割協議書が短期に作成できることは現実的には難しいといえますが、事前準

  備をしてから、金融機関へ口座名義人の死亡を連絡すべきといえます。

  それは前述しましたように金融機関が口座名義人の死亡を知るとその口座を凍結してくることか

  ら、凍結の影響の不都合を念頭に、回避策を検討しさらにそれを実行していかれることを附言して

  おきます。

  さて、金融機関へ口座名義人の死亡を直接出向き伝えるとか電話連絡すると、一般的には前者の場

  合はその後の手続の案内を説明してくれ、後者の電話連絡の場合は来店を要望される場合と「手続

  の書類一式」の送付をしてくれる場合があると聞きます。

五、金融機関における名義変更又は解約手続きの必要書類と手続の流れ

 1.金融機関での名義変更又は解約における一般的な必要書類(相続人が複数いる場合で説明)

  ➀相続届(金融機関ごとにそれぞれ異なる)

  ➁亡くなった人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本(除籍・改製謄本含む)

  ③相続人の戸籍謄本(抄本可)

   ※➁③は法定相続情報一覧図の写し」で代用可

  ④相続人全員の印鑑証明書

  ➄遺産分割協議書又は遺言書(法務局保管の場合を除き自筆証書遺言の場合検認が必要)

 2.必要書類の提出とその後の金融機関の処理について

   一般的には必要書類提出後2週間から1カ月程度で手続が完了します。

  ➀名義変更の場合は名義変更された通帳を受け取ることになります。

  ➁解約による預金の払い戻しの場合は相続人指定の銀行の場合は銀行口座に払戻金が振り込まれ解

   約済となり、亡くなった方名義の通帳が郵送されてきます。

   ※ゆうちょ銀行の場合は代表相続人のゆうちょ銀行口座への入金か、口座が無い場合は払戻証書

    を受取りそれを現金化する方法で、他金融機関への振込による払戻しの方法はありません。

さいごに

金融機関の口座承継については、口座名義人の亡くなったことを連絡することにより、その口座の凍結

がなされ、日常的な社会生活に影響が出てくる恐れがあるため、上記三、の事前準備をしっかりやって

おくということを再度申し上げておきます。

そしてスムーズに相続手続を終えられることを願うばかりです。

   

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