遺言書はなぜ必要なの?
遺言書をどのぐらいの人が書いているのか
法務省の調査によると日本人の55歳以上で遺言書(自筆証書遺言・公正証書遺言)を作成したことがある人はなんと6.8%しかないとなっています。
遺言書を作成するのが一般的と言われる米国と比較して、何故こんなに少ないのか様々な所で分析がなされているのを目にします。
私はこの理由について、相談業務でよく耳にする、次の3点かと考えます。
・遺言書を書くのはあまりにも大げさではないか
・子供たちに差をつけることにならないか
・一番の理由としては遺言書を作成するには費用が高く、書くのも難しいと言うことです
費用が手ごろで容易に作成できるなら、自分の亡き後「相続」が「争族」とならないように大げさでも、子供に差をつけてでも、遺言書を残すのではないかと思います。
つまり、これは費用・作成の難しさをクリアすれば、自己主張を抑える国民性ですが、もっと遺言書作成の数字を米国並みとはいかなくとも上昇できると思っております。
それではここで遺言書についてあらためて確認してみます。
そもそも遺言書とは
遺言書は、遺言者の死後に、財産の処分や相続分の持分の指定などについて、法的な効果を持ちます。
つまり、亡くなっていく人の最期の意思を実現させるには遺言書が必要ということです。
『最期の意思』とは、次のような場合がそれにあたります。
・残る配偶者へ不安の無い老後のため全ての財産を相続させたい
・不動産を相続人の一人に相続させたい
・相続人以外に財産を譲りたい
・残された家族が財産で争わないようにしたい
相続財産のスムースな承継手続のためにも遺言書(特に遺言執行者を指定したもの)があれば、不動産の名義変更、預貯金の名義変更や払い戻しが遺言執行者単独で行うことができ、非常に有効であると言えます。
実際にあった例
最後に、遺言書作成により、最愛の妻へ全遺産を譲れた具体例で説明します。
子供のいない夫婦で、夫が妻を残して亡くなり、妻と夫の兄弟姉妹により遺産を相続することになった場合のことです。
遺言書に『すべての財産は妻の〇〇へ相続させる』の一文があれば、これだけで遺留分の無い兄弟姉妹へは、ただの1円も渡すことなく、全財産を妻が相続できます。
愛情は遺言書を作成することで、はじめて残される者の人生(生活)を守れることになります。
これはほんの一例です。
このことからも、遺言書を書くことが、遺言者の最期の意思を実現させ、残された家族・親族の「争族」を回避できると言えます。
是非とも、遺言書を書いて自分の意思を表明し、最愛の人の人生(生活)を守ってもらいたいものです。